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旭川市都市計画マスタープラン見直しの背景と目的 |
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旭川市都市計画マスタープラン(以下,『都市計画マスタープラン』)は,都市計画法第18条の2に規定に基づき,長期的・総合的視点から20年後を見据え,新たな時代の都市計画に関する基本方針として,多くの市民参加のもと平成13年に策定しましたが,策定後約10年が経過し,少子高齢化の進展や,緩やかながらも人口が減少に転じるなどの社会状況の変化が生じてきました。
また,平成18年に都市計画法が改正され,これまでの拡大成長を前提とするまちづくり方針の転換が示されたのに加え,同じく平成18年に策定した『第 7 次旭川市総合計画』では,「コンパクトな都市空間の形成」という将来都市像を示しており,これら状況の変化に応じた修正の必要性が高まってきました。
① 社会状況の変化
◆人口の減少
◆少子高齢化の急速な進行
◆低炭素社会への転換(地球環境問題への意識の高まり)
② 新たな法制度などへの対応
◆都市計画法の改正(平成 18 年)
◆『第7次旭川市総合計画』などの上位計画や関連計画の策定・変更
まちづくりを取り巻く環境の変化に対応した将来都市像を明らかにし,今後の望ましい土地利用や交通施設の整備など,新たな時代の都市計画に関する基本方針を定めることを目的として都市計画マスタープランの見直しを行いました。
計画の位置づけ |
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都市計画マスタープランは,『第7次旭川市総合計画』及び北海道が定める『都市計画区域の整備,開発及び保全の方針』(以下,『整開保』)に即し,環境・農業・福祉・商業などの部門別計画と連携しながら,都市整備の理念や目標,地域別の整備方針などを総合的に示すもので,旭川市全体に関する基本的な方針を定めた「全体構想」と,旭川市を12地域に分け,各地域に関する基本的な方針を定めた「地域別構想」を中心に構成しています。
また,個別の都市計画は,都市計画マスタープランに即して実施します。
都市計画マスタープランの主な役割としては以下の4点があげられます。
旭川市 における望ましい将来の都市像を明確 にする役割
旭川市 の現状や市民の意向を踏まえて,都市全体及び地域別に望ましい将来の都市像や 都市づくりの基本的な方針を明確にする役割があります。
基本的 な方針として都市計画の整合性・総合性 を確保する役割
土地利用 や市街地開発事業,都市施設などの分野別計画を相互に調整することで,都 市計画の整合性や総合性を確保する役割があります。
個別の都市計画に関して決定・変更の方向性 を示す先導的な役割
市街化区域,市街地再開発事業,道路や公園など個別の都市計画の決定や変更の方向性を示す先導的な役割があります。
都市計画の目標を市民にわかりやすく示し, 市民の理解を深める役割 都市計画の目標を市民にわかりやすく示すことで,将来の都市像の実現に向けて推進する各種の都市計画事業に対して市民の理解を深める役割があります。
計画区域と目標時期 |
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都市計画マスタープランでは,市の全域を対象として都市づくりの基本的な方針を定めます。
なお,都市計画法による個別の都市計画の規制などは,主に都市計画区域が対象となります。
都市計画の基本方針として平成13年に策定した都市計画マスタープランでは,目標期間をおおむね 20 年と設定していることから,平成32年を目標時期としています。
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見直しの考え方 |
(1)見直しの基本的な考え方
平成13年に策定した都市計画マスタープランは,市民アンケートや市民ワークショップ会議などの市民の声を反映した行政素案をたたき台として,都市計画マスタープラン策定懇談会からの提言,さらには,都市計画審議会における審議を経て,長期的視点で20年後を見据えた都市計画に関する基本方針として策定しました。
こうした経緯を踏まえ,以下の考え方に基づき見直しを行いました。
◆ 現在の都市計画マスタープランを基本として,中間年次における修正を行いま した。
◆人口減少,少子高齢化,あるいは地球環境問題への意識の高まりなど,市の社会経済情勢の変化に即した見直しを行いました。
◆『第7次旭川市総合計画』や北海道において平成22年度に見直しが行われた
『整開保』を上位計画と位置づけ,さらに関連する諸計画と矛盾 がないよう見直しを行いました。
平成18年6月に策定した『第7次旭川市総合計画』では,目指す都市像である「人が輝く 北の文化のかおる まち」の実現に向けて,以下の4つの基本目標を示しています。
基本目標1「愛着と誇りを持ち,市民が活躍するまち」基本目標2「人のやさしさとやすらぎを実感するまち」基本目標3「人が行き交い,元気な経済が展開するまち」基本目標4「市民主体の健全で公正な自治の運営」 この基本目標の中で,都市計画マスタープランとのかかわりが深いのは,基本目標2「人のやさしさとやすらぎを実感するまち」,及び基本目標3「人が行き交い,元気な経済が展開するまち」になります。
なお,平成22年6月に『第7次旭川市総合計画』の基本計画が改訂になり,基本目標2において「温室効果ガスの排出が抑制された社会の形成」,及び基本目標3において「都市機能の充実による都心部の求心力の向上」という方針が追加になっています。
また,平成23年3月に北海道において見直しが行われた『整開保』では,「市街地の無秩序な拡大を抑制し,持続可能でコンパクトなまちづくりに向けた都市づくりを進めながら,地球環境時代に対応した低炭素型都市構造への転換を目指す」という旭川圏都市計画区域における都市づくりの基本理念を掲げています。
都市計画マスタープランでは,これら上位計画に即しつつ,市の社会状況の変化などを踏まえた,以下の3点を見直しの基本的な視点としました。
社会状況の変化などを踏まえた 見直しの基本的な視点 |
◆ コンパクトなまちづくり ◆ 温室効果ガスの排出が抑制された社会の形成(低炭素型都市構造への転換) ◆ 拠点機能の強化(中心市街地活性化) |
都市計画マスタープランの見直しは,市民の声を反映した行政素案をたたき台として,都市計画審議会での議論を経て行いました。
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旭川市の現況 |
(1)都市圏の状況
旭川市を母都市とする商業圏域の中で,旭川市での購買率が高く,1 次商圏に位置づけられている市町は,旭川市(96.1%),鷹栖町(91.9%),東川町(90.4%),比布 町 (88.3%), 当 麻 町 (87.4%), 愛 別 町 (86.3%), 東 神 楽 町 (85.9%), 上 川 町 (78.0%),美瑛町(68.9%),幌加内町(58.5%),和寒町(57.4%)の1市10町であり,平成3年調査時の1市8町から商圏が拡大しています。
(出典:北海道広域商圏動向調査報告書 平成 21 年)
常住地における就業者に占める旭川市への通勤者の割合が10%を越える市町は,旭川市(94.8%),東神楽町(46.5%),鷹栖町(44.3%),東川町(31.8%),当麻町(30.6%),比布町(26.3%),愛別町(12.4%)となっており,平成7年調査時の1市6町から変化はありませんが,住宅地への開発が進み人口が増加した町では旭川市への通勤者の割合が増加しています。
(出典:国勢調査 平成17年)
常住地における通学者に占める旭川市への通学者の割合が10%を越える市町は,旭 川 市 (97.5%), 比 布 町 (26.8%), 当 麻 町 (25.4%), 鷹 栖 町 (23.8%), 愛 別 町 (23.7%),東神楽町(22.3%),美瑛町(21.4%),東川町(18.6%),上川町(12.8%),和寒町(10.7%)となっており,平成7年調査時の1市8町から1市9町へと増加している一方,住宅地への開発が進み人口が増加した町では旭川市への通学者の割合が減少しています。
(出典:国勢調査 平成17年)
旭川市が含まれる広域的な行政圏を対象とする計画などは,新・北海道総合計画における道北連携地域(6 市 31町4村),上川中部圏地方拠点都市地域基本計画(1 市 8 町),上川中部定住自立圏形成協定(1 市 7 町),旭川圏都市計画都市計画区域の整備,開発及び保全の方針(1 市 2 町),旭川都市圏総合都市交通体系調査(1 市 5 町)があります。
位置づけ |
構成 |
構成市町 |
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新・北海道総合計画 (道北連携地域) |
6 市 31 町 4 村 |
旭川市,留萌市,稚内市,士別市,名寄市,富良野市,幌加内町,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,愛別町,上川町,東川町,美瑛町,上富良野町,中富良野町,南富良野町,和寒町,剣淵町,下川町,美深町,中川町,増毛町,小平町,苫前町,羽幌町,遠別町,天塩町,幌延町,浜頓別町,中頓別町,枝幸町,豊富町,礼文町,利尻町,利尻富士町,占冠村,音威子府村,初山別村,猿払村, |
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上川中部圏地方拠点都市地域基本計画 |
1 市 |
8 町 |
旭川市,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,愛別町,上川町,東川町,美瑛町 |
上川中部定住自立圏形成協定 |
1 市 |
7 町 |
旭川市,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,愛別町,上川町,東川町 |
旭川圏都市計画都市計画区域の整備,開発及び保全の方針 |
1 市 |
2 町 |
旭川市,鷹栖町,東神楽町 |
旭川都市圏総合都市交通体系調査 |
1 市 |
5 町 |
旭川市,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,東川町 |
都市計画の観点では,市街地の連担や道路網の形成などにより,一体の都市計画区域として指定されている旭川市,鷹栖町,東神楽町は同じ『整開保』を上位計画に持つため,結びつきは最も強いといえます。
また,平成22年には,旭川市,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,愛別町,上川町,東川町の 1 市7町からなる『上川中部定住自立圏形成協定』が締結されるなど,圏域全体の活性化に向けた新たな広域行政の取組も進められています。このことから,これら圏域の中心市,道北全体の拠点都市として担うべき役割を明確にしつつ,旭川圏として望まれる都市整備を進めることが重要となっています。
都市圏の特性
(2)土地・建物利用の状況
本市の市街地は,土地・建物利用の状況から,JR旭川駅や買物公園を核にほぼ同心円状に形成されており,行政,商業,業務など様々な拠点的な都市機能が集積する中心市街地と,中心市街地縁辺で住宅と商業的なサービスや業務・流通施設が配置された一般市街地,駅などを中心とした合併以前から地域の核となっている地域核市街地で構成され,さらには,市街地の外縁部に広がる農村地域や森林地域などが一体となった都市構造を形成しています。
◆本市の市街化区域は,約7,957ヘクタール(平成23年4月1日現在)となっており,平成12年から約120ヘクタール増加しています。
◆市街化区域内のほぼ全域で低・未利用地が減少しており,土地利用が進んでいます。
◆中心市街地の外縁と都市計画道路環状1号線の内側で囲まれたゾーンでは,おおむね
90 パーセント以上が宅地として利用されており,高い土地利用率となっています。
◆都市計画道路環状1号線の外側のゾーンでは,土地利用率が増加傾向にあり,また,低・未利用地も比較的残されていることから,今後も土地利用が活発になるものと予想されます。
◆住居系施設は,中心部を除き,ほぼ全域で増加傾向となっています。
◆商業・業務系施設は,都市計画道路環状1号線沿道の一部では増加が見受けられますが,全体としては減少傾向となっています。
◆工業系施設は,中心市街地の外縁部に配置されている工業・流通系ゾーンの一部では増加も見受けられますが,全体としては軽工業系・運輸倉庫系の施設を中心に減少傾向となっています。
(出典:旭川圏都市計画基礎調査 平成 14 年,平成 21 年)
中心市街地ゾーン
低・未利用地が比較的残されている一方で,土地利用率も鈍化しています。また,住居系,商業系,工業系施設のいずれもが減少するなど,空洞化が進んでいるゾーンです。
一般市街地ゾーン
一般市街地のうち,中心市街地の縁辺ゾーンでは,低・未利用地が少ない中で,住居系施設が全域で増加し,商業・業務系施設が一部で増加するなど,高密度な土地利用が進んでいます。また,それ以外のゾーンでは,土地利用率が増加する中で,住居系施設が全域で増加し,業務系施設,専用店舗施設も一部では増加するなど,都市活動が活発化しています。
地域核市街地ゾーン
市街地の外縁にある旧集落を取り込んだ市街地であり,ある程度自立的な市街地を形成しており,住宅系・商業系・工業系・流通系施設などがそれぞれの各地域特性のもとで,増加傾向を示しています。
◆長年,36 万人台を維持してきた市の人口は,平成 11 年度以降緩やかな減少傾向が続いています。今後もこのような状況が続くと見込まれており,平成 32 年度には人口が約 32 万7千人になると予測されています。
◆世帯数は増加傾向が続いており,今後もこのような状況が続くと見込まれます。
◆人口が減少する一方で,世帯数が増加しており,世帯平均人数は今後も小規模化の傾向が続くと予測されます。
(出典:旭川市住民基本台帳,国立社会保障・人口問題研究所)
人口,高齢化率,世帯数の状況から本市の市街地は,大きく以下の6つのゾーンに区分されます。
人口・世帯数ともに増加し,高齢化率が比較的高いゾーン
中心市街地縁辺に位置し,世帯数・人口ともに増加している一方,高齢化率が市内平均に比べ高くなっています。
人口・世帯数ともに増加し,高齢化率が比較的低いゾーン
環状 1 号線沿線など住宅立地が進んだ市街地では,世帯数・人口ともに増加し,高齢化率は市内平均(約 26 パーセント,平成 23 年 3 月現在)に比べ,比較的低くなっています。
その他の人口増加ゾーン
上記以外の人口増加ゾーンでは4人に1人以上が高齢者となっており,高齢化率は市内平均的な水準となっています。
人口が減少し,高齢化率が比較的高いゾーン
中心市街地及びその縁辺などに位置し,世帯数が増加しているものの,人口が減少しており,高齢化率は市内平均に比べ高くなっています。
人口が減少し,高齢化率が比較的低いゾーン
環状 1 号線沿線など主に工業系の土地利用がされている地域に位置し,住宅立地が進み世帯数が増加しているものの,人口が減少しています。また,高齢化率は市内平均に比べ比較的低くなっています。
上記以外のゾーンでは,おおむね世帯数が増加しながらも人口が減少しており,4人に1人以上が高齢者となっているなど,高齢化率は市内平均的な水準となっています。
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都市整備の課題 |
これまで都市計画では,緩やかながらも人口が増加することを想定し,市街地の拡大や,大量の自動車交通量を円滑に処理するため,交通基盤を整備してきました。また,自家用自動車の利便を前提とした都市機能の配置も進みました。
今後,人口減少が予想されることから,これまで整備してきた交通基盤や身近な生活拠点など既存の都市機能をいかに維持し,市民生活の利便性や快適性を確保していくかが課題となってきます。
また,本市では,高齢化率が北海道の平均(約 25 パーセント,平成 23 年 3 月現在)を上回るなど,高齢化が進んでおり,身近な生活拠点を維持するなど,高齢者の利便性や安全性の観点からも,暮らしやすい都市構造の形成が求められています。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスは,様々な都市活動に伴って排出されています。
市街地の拡大に合わせ,都市内の道路網を計画的に整備してきましたが,日常生活における自家用自動車への依存が高まり,公共交通の相対的な役割が低下しています。そのため,自動車の移動時におけるエネルギー消費を低減する観点から,円滑な道路交通体系の形成や公共交通の利便性の向上がより一層求められています。
本市の中心部では,自然とまちが調和する緑豊かな新たな都心機能の整備が進んでいる一方で,郊外への大規模集客施設の立地や中心市街地の空き店舗が増加するなど,中心市街地における相対的な役割が低下しています。
こうした状況を考慮し,買物公園を軸とした中心市街地のにぎわいの再生に向け,中心市街地の活性化に関する法律に基づく,新たな『旭川市中心市街地活性化基本計画』を平成23年に策定し,道北地域の「顔」にふさわしい活力ある中心市街地の形成への取組が進められており,都市計画においても,公共交通の利便性向上や,高次の都市機能の集積を進めるなど,中心市街地の拠点機能を強化する取組が求められています。
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